第10章 異世界紳士と秘密情報
「ううっ…!」 「ぐふっ…!」
「やはり、見張りが部屋の外にいましたね」
「ああ… 少し待っててください…」
静かにドアを空けた後、
豆鉄砲を食らったような顔した
見張りの人間を2人気絶させる
フィルは倒れた人の持ち物を探る
「無線は私達が持っていた方がいいですね
ティナの分もありますよ
USBメモリはありませんね…」
フィルは倒れた2人の無線を少し弄ってから
片方を渡してくれた
「恐らく、この無線は
幹部と見張りだけの連絡でしたが
幹部に集まる全ての無線を
拾うようにしましたので」
「ものの数秒で… 流石、元ZI7ですね」
「本当に褒めていますか?」
フィルはZI7にいたと話してくれた
でもフィルは悪い人なんかじゃない
「気軽にジョークを言える仲
だと考えてくださいそこは」
無線を聴いてみると
『侵入者の身元の確認を急げ』
『わかりません… 恐らく秘密組織かと』
『USBメモリの解析結果ですが…』
私たちの事をひっきりなしに話している
身元はバレていないようだ
全神経を集中させる
正直、最近浮かれていたと思う
lexxに来て最初の仕事
オリヴァーと暗殺した時は
もっとスムーズに出来たはずだ
909にいた時ももっと緊張感を持っていた
失敗なんてしたこと無かった
気を引き締めて…
私はなんの為にこの世界を入ったの?
無関係のレンを家族の縁を切ってまで
この世界に引きずり込んだのは誰?
あの時、父上と母上が逃がしてくれた私にできる事は?
私はどうするべきなの?
〝ルミデウス国を救い、ZI7に復讐を
それまで私は死ねない〟
「行きましょうフィル
まずは現在地の確認
建物内の配置は全て覚えているので
後は、脱出ルートを計算しましょう
あと、さっきは
USBメモリは要らないと言いましたが…
やはり必要ですよね
私たち、諜報員ですから」
強い意志を持ってフィルを見つめる
この感覚… 前にもどこかで…
…そうだ、
オリヴァーと雨の中暗殺した後に…
「先程と顔つきが全く違いますね
とても凛々しくて、美しいですよ
ですが、その前に…」
フィルは突然私を前から抱きしめた
「…私が必ずティナを守ります
貴女が大切なのです 忘れないで…」