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突然ですが、これから貴女は諜報員です。

第9章 非化学的に証明


「…ただいま」


「おかえりレン、今日も残ってたの?」


まあね… ティナの事が気になってね…
少し聞いてみるかな…


「ティナはさ、太陽の光は好き?」


「え…? 何その質問 別に… 普通」


「そっか、じゃあ血は好んで飲んだりする?」


「は…? 吸血鬼じゃないんだから
血なんて飲んだことないよ」


ティナから送られる視線が痛い
そりゃそうだろう
今の僕はただの変人に見えるだろう


「そっか… じゃあさ
もしかしたら吸血鬼なんじゃないかな
って思った瞬間とかない?」


「吸血鬼…? そんなの存在しないよ
大丈夫?疲れてるの?
どんな夢小説を読んでいたの?
身内が吸血鬼に化けるみたいな」


夢小説だって…!?
そんな!
ちゃんとした論文を
こんな遅い時間まで読み老けていたんだよ!


「とりあえず、ご飯はあるから食べてから
シャワー浴びてすぐ寝なよ
私はもう寝るね、おやすみ」


「ああ、そうするよ、おやすみティナ」


うーん…
ティナ自身も何も感じてないのか…
たまたまティナはそう生まれただけなのか…?

それにしても当てはまるんだよね…


1人ご飯を食べてシャワーを浴び
眠る前に後少しだけ論文を読む
本当は持ち出し禁止だけど…
まあ、誰も必要としていないだろう…


読み進んでいく…


〝吸血鬼の成人は19歳で
それまでは吸血鬼の特徴が出ない者もいる〟


これだ…!

ティナはまだ16歳
だからもし仮に吸血鬼だとしても
特徴は出ないし自覚もないのか


…ん?


〝尚、吸血鬼は生涯で愛せるのはたった1人
身内ではない異性を愛す
また、吸血鬼は身内同士の結束が強く
自分の命をかけてでも守ろうとする傾向にある〟


身内ではない異性を生涯愛す…ね

この文字がぐさぐさと胸に刺さる

そして身内は命をかけて守ろうする…


「当てはまりすぎなんじゃないの…」


もう僕は一生ティナに
異性として見られないと考えると…


「ハハ… ティナは吸血鬼じゃないよ
やっぱり人間だよね… そうだよね… ねぇ…」


静かに涙を流しているのに気がついた
もしかしたら…
なんて淡い期待を今までしてきたのに…


「ティナは僕の事一生好きにならないんだね…」


でもお願いだ…

吸血鬼なんて非化学的な事は僕は信じないよ…
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