第38章 過去
「手前・・・・・“思い出した”のか?」
なぜ?
そんな言葉が出てくるの?
私の目から、暖かな水が出てくる。
「な…なに……も、ないです……」
中也には関係ない。
「!はあ、ほらよ。」
中也が出してきたのはハンカチであった。
「そんな顔で首領のところ行ったら俺が殺されるじゃんか。」
中也は私を解放する。
そして、閉じかけたエレベーターの扉を釦で開け私の手を握った。
「グスッ……!グスッン……」
私の涙は止まることを知らない。次から次へと流れてきた。
「黒雪……悪かった。ずっと黙ってて……。」
中也は、泣く私を慰めた。
中也の所為じゃないのに……
中也は私が泣き止むまでずっと側に居てくれた。
「手前の記憶と芥川の記憶をすり替えるという計画は、白雪と黒雪がマフィアに来てからずっと考えていた計画だったんだ。」
中也は、全部話してくれた。
「そうだったんですね……。」
私の涙はやっと止まってくれた。止まったあと、腫れが残ると困るからと理由で中也が自分のハンカチを濡らして私の目元に当てていた。
「本当に悪かった。」
「あはは。中也大丈夫だって。なんか、薄々分かってた。何故か、芥川くんと私は合わないって。」
考え方も生きがいも違う。
だから、喧嘩をしていた。