第3章 意路不倒【イロフトウ】
それからは皆の素性を探ると同時に、各々が好き勝手にの世話を焼いた。
政宗は「お前はもっと滋養を摂って太れ」と、日に何度も見事な料理を作っては運び込む。
三成は幼子の相手をする如く、御伽草紙等の簡単な書物を持ち込んでに読み聞かせていた。
家康は過保護な程にの傷の状態を視て居たし、秀吉に至っては言う迄も無くその兄貴気質を存分に発揮して、の身の回りの世話を一身に引き受けている。
光秀だけは特に親密に関わる事は無かったが、それでもの状況を気にしている様は見受けられた。
そんなある日、俺がの部屋に入るとそこには……
ぺたんと腰を下ろしたの頬に両手を添え、覆い被さる様に顔を寄せる光秀が居た。
その姿を目にして思いがけず頭に血が昇ったが、俺は冷静さを装い背後から声を掛ける。
「何をしておる……光秀?」