第14章 嬰壱点ト 嘘と誠〜顕如〜
「こんなところで何してるんだい?」
「えーっとえーっと……道に迷っちゃいまして……。」
すると、お坊さんはため息をつく。
「こっちだ。」
私は、お坊さんの後を追った。
「お嬢さん、あんたの名前は?」
「咲良です。お坊さんは?」
「顕如だ。咲良、あんた。安土の住民だったのか?」
私は、その言葉にドキッとする。
「はい。」
「じゃあ、なんで京都なんかに?」
「私の屋敷の旦那様が京都に行かれていたのでそれの動向でございます。」
顕如さんはそうかと言う。
「顕如さんは何故ここに?」
「さあな。お坊さんっていうのはいろんなところに行くからな。」
その時、
♭シの音がなった。
違う。
きっと、違う目的だ。