第5章 壱点ヘ 琴の腕前〜秀吉〜
パチン
ピン!
パチン
ピン!
私は、琴の音を鳴らしていくのを終わると
息を吸い、
曲を奏でていく。
甘い音、柔らかい音、苦い音、悲しい音。
全てが絡まり、綺麗な曲へと変わっていく。
そして、最後の音を鳴らすとここの店に集まっているお客さん、おじいさん、男、秀吉さんは沈黙であった。
「この琴は、私が今まで弾いた中で一番綺麗な音を出してくれましたよ。それでも、いい音が鳴らないと言うならば、もう一度弾きましょうか?」
私は、男に微笑みかける。
男は、赤面になるとすぐさま琴を取り、去ってしまった。
あら、そっけないこと。琴だけに。
私はみんなを見る。みんな、ポカンとしていていまさっき気がついたようだ。
「お嬢ちゃんすごいね!!」
「あんな音初めて聞いたよ!!」
みんなの笑顔が私にやってくる。