第5章 壱点ヘ 琴の腕前〜秀吉〜
「秀吉さんさっきは助けてくれてありがとう。」
「咲良、琴が弾けたのか。すごくうまかった。」
私は微笑みかける。
次におじいさんを見る。
「ここの琴は、質がいいからまた立ち寄っても構いませんか?」
「いいですよ!咲良様!」
私は、ありがとうございます、と伝えると秀吉さんと一緒に店から出た。
「久しぶりに琴弾いたから疲れちゃったや。」
「琴を習っていたのか?」
秀吉さんが聞く。
「習ってたって言うより、どの弦がなんの音かわかれば、だいたいわかっていたから、習ったのは、弦の種類だけ。」
私は、ふふふと笑って答えた。
【秀吉目線】
琴を弾いていた時の咲良がとっても綺麗だった。
ずっと、見惚れてしまった。
咲良は悪い奴じゃなかったな。
明日からは、めいいっぱい甘やかそう。
兄貴として。
【第三者目線】
だが、秀吉はどこか『兄貴』ということが禍々しいと思っていた。