第1章 帰って来た従兄弟
細身とは思えない程しっかりした胸板に顔をうめる形となり、宇菜は反射的に顔を上げた
「や、大和くん!?待って、待って!」
「なに?」
「ちょっとスキンシップが激しすぎるよ」
「そう?」
本当に宇菜の言っていることが理解できないのだろう
首を傾げる様は可愛らしい
「でも宇菜ちゃん。前もよくこうしてたよ」
「そ、それは子供の時の話で…」
あわあわしてるのは宇菜だけ
やっぱり大和は冷静で……
「宇菜ちゃん、可愛いね」
「……へ?」
聞き間違いかと思いピタリと止まる
いや、それともからかわれた?
じっと大和を見上げれば、彼は優しげな笑顔を作る
少し大人びた笑顔に宇菜はドキドキしっぱなしだ
「えっと…そろそろ行こうか」
「そうだね。帰って来て早々、宇菜ちゃんとデートできるなんて嬉しいな」
「で、デート!?」
「うん。じゃ、行こう」
腰を解放される直前、大和の唇がおでこに触れる
それはほんの一瞬の出来事だったが、リップ音が耳に児玉した
「や、大和くん!?い、い、今…」
「なに?ひょっとしてキスもダメなの?」
大和はむぅ、と唇を尖らせる
間違いない
おでこにキスをされたのだ
「だ、ダメだよ」
「なんで?」
「恥ずかしいから!」
宇菜は今までにないくらい真っ赤になっていた