第7章 彼のお部屋
夏休み初日
セミの鳴き声が遠くに聞こえる昼間
宇菜はリビングでアイスを食べながらテレビを見ていた
いつもなら隣に大和がいるはずだが、今日は朝から姿を見ていない
連絡をしても反応が無かった
夏休みだし、寝てるのかな…?
なんて考えているとケータイが着信を告げる
かけてきたのは葉子だった
葉子は、今日も仕事なはず
一体どうしたのだろうと不思議に思いながらも電話に出る
『あっ、宇菜ちゃん?ごめんね突然。今日も大和がそっちにお邪魔してるかしら?』
「ううん。来てないけど、何かあったの?」
『そう…。実はね、今朝熱を出していたみたいなの。あの子、熱を出すと長引くから大変なのよね。もしよかったら様子を見に行ってくれないかしら?』
「ね、熱!?わかった。すぐ行くよ」
電話を切ると同時に宇菜は家を飛び出していた
まさか大和が体調を崩しているなんて想像もしなかったのだ
合鍵を使って大和の家へお邪魔すれば、そこはしんと静まり返っていた