第5章 purple
亮介さんを後にして部屋を出た。
出たのはいいが、
急に力が抜けその場でへたりこんでしまう。
「…ふっ……」
違うの、
亮介さんのことを
好きだとか嫌いだとか
そんなんじゃなくて
今まで詰まっていたものが
変に針積めていた糸が
ハサミで切れて
わけがわからなくなった。
「…っ、…」
声がでない。
ただ溢れて止まらない涙。
こんなところ見られたらおしまいだ
と立ち上がろうとしたが
やっぱり力が入らず
また倒れそうな時、
腕をガシッと捕まれ支えられた。
ぼやける視界で見上げると
そこには眉を歪ませる彼の姿。
「…ふっ…ま、つも」
その姿を見てまた涙が溢れる。
何も言わない彼に腕を強く引かれ
誰もいない部屋へと押し込められた。