第5章 purple
「今日は、アンドリュー、いいの?」
とニヤニヤして
我が物顔でソファー座る彼。
「…あ、アンドリューは、その、」
もうやめた。
いい加減現実見ないといつまで経っても
このままだし。
それに
「なに?別れたの?」と身を乗り出す彼に
別れたって、2次元だよ!
と心の中でツッコミを入れた。
なんか、このツッコミさえ虚しい。
まあ、そんなとこ、と言うと
「それって、俺のせい?」
と柔らかく笑う年下男子。
「そ、な、なんで」
松本くんから本気かわからないような告白をされて、まだアンドリューのことをゲームの中の人物だと知らない松本くんがヤキモチを妬いてくれて、そしたらアンドリューよりも松本くんの言動が気になって。
それはまるで
恋が始まる前の状態で。
年下男子に陥れられる。
心を一瞬でも許したら
全部持っていかれそうで怖い。
「だとしたら俺、すげえ嬉しいんだけど」
と整った顔が、その目力が
私の視線を捕まえて離さない。