第4章 yellow
「…これ、」
「覚えてるっつうの、記念日、でしょ?」
「…し、知ってた、の?」
「うん、あなたがソワソワしてんの
心で笑ってた」
ハンドルに頭をつけ
意地悪な顔して私を見る。
「ひどい!悪魔!鬼!」
「ひっどいな、バラですよ?
ロマンチックすぎるよ?
30の男がバラ、下さい。
とか言ったんすよ?」
「…、ありが、とう」
「そこは素直なのね」
嬉しいけど
なんだか悔しくて
やっぱり私の方がカズくんのこと
大好きなんだ、と思った。
私が晴れない表情をしていたせいか
彼がうつ向いて下に流れる私の髪を
掻き分けるように触る。
私を除き込む様に
「ねえ」と呼び掛けられたが
視線は渡さなかった。
なぜなら今彼を見ると
嬉しいのと好きが溢れ出て
絶対涙が出てしまうから。