第4章 yellow
「・・・・・・・、」
二宮くんは普段思い出に浸らない人なのに。
写真の私より目の前の私の方が良くない?
と言う人なのに。
その彼が
私との写真を独りで眺めていたの?
どんな気持ちで眺めていたの?
二宮くんが袖の長い服を着て
両手で口を隠すような仕草で
カメラを上目遣いで見る
なんとも女子力の高い写真を見て
温かい気持ちになる。
急に二宮くんに会いたくなった。
さっきまで避けていたのに。
やっぱり私は二宮くんに勝てない気がする。
私の方が二宮くんの何十倍も、何百倍も
大好きの気持ちがが強いんだ。
「・・・ズルいなあ」
もういいや
こんな、意地を張る時間がもったいなくて
二宮くんに謝ろうと思った。
その時、玄関の方から鍵の開く音。
この時間に開くはずのない扉が開く。