第3章 gleen
私の作った料理を食べながら
お酒も進む、彼。
「うまい!」
本当に美味しそうに
言ってくれる彼を見て
よかった、と一安心。
人に手料理振る舞うのって
こんなに緊張するんだ。
…いや、相手が
相葉くんだからだろうか。
「ほら、ちゃんも食べなよ」
と私に唐揚げを取り分けて。
「…ふふ、ありがとう」
「あ、のさ」
「うん?」
「きん、ちょう、するね」
半笑いの彼がチラッと私を見て
気まずそうに言う。
「……相葉くんがそんなこと言うと
緊張するよ」
「あ、や、そうだよね、
はは、うん、ごめん」
あはは、と笑うもその声はすぐに消えて
2人で唐揚げをついばむ。
「あ、あのさ!」
「う、ん!」
箸を置いて、背筋を整えた彼が
こほん、と咳払いをした。
「…まだ、やめとこうと思ったんだけど
やっぱ俺、こういうの待てなくて」
「…う、うん」
だいぶ空いた時間。
沈黙の微妙な空気感に
この後彼の口から出るセリフが
とても重要なことだとわかる。
これはあの日の続きなんだろうか
そんな勝手な妄想と期待で
私の鼓動は早くなって。
バチン、と視線が合った瞬間、
勢いよく彼の口元が開いた。
「…でぃ、…DVD!…借りてきたから…、
流して、いい…?」
「………」
何かを期待した私が
凄く恥ずかしかったけれど
そんなこと相葉くんには関係ないから
少し残念な気持ちを隠して
うん、と笑って返事をした。