第3章 gleen
それなのに彼ときたら
いつもと一緒なご様子で
「あ、やっほー、ごめんね、
遅くなっちゃった」
ですって。
あれから1度も会っていないから
久しぶりなのに。
「ううん、大丈夫、こっちは準備万端」
「準備万端?」と首をかしげて
靴を脱ぎながら「へんなの」と笑う。
私にしたらこの間の件のあとに
今までと同じ友達感覚で
フレンドリーに接してくる
あなたの方が「へんなの」だ。
「おっ邪魔しまーす」
と私の部屋を見渡して
可愛い、やっぱ女の子ー、と騒ぐ彼。
男の人が部屋に入るなんて
初めてで正直どうしていいかわからない。
こんなことも全部、
私だけなんだろうけど。
と目の前をウロウロする
彼を見て思った。
「あ、ちゃん!
酒買ってきたよ!
ちゃんの好きなやつ」
「ありがとう、
ご飯、出来てるから」
「………」
相葉くんが口に手を当てて黙る。
「…え?」
なに、なんなの?
「…大丈夫?相葉、くん、」
「…あ、ああごめん、
タイムスリップしてた」
「うん、お帰りなさい」
「………」
「…また?」
「あ、ご、ごめん、
さっ、飯!腹へった!
ちゃんの手作り~」
様子がおかしいのは、
私だけじゃないみたい。