第3章 gleen
「今、相葉くん
気付いてくれましたね」
と彼女が自分のことのように喜んでくれた。
雅紀くんのアゴが指した方向は
バッチリその彼女の方で
『合図するから』
と言った昨日の雅紀くんを思い出す。
嘘、
まさか…
驚いて、なにも言えないまま
彼女を見つめていると
「どうかしました?」と見つめられる。
「…もしかして…あなたが櫻井、さんの…」
そこまで言っただけで
彼女の目が少し大きくなり。
その反応だけで
彼女が櫻井さんの、それを確信した。
「……」
何も言わない彼女に
「…聞いて、ませんか?私、雅紀くんの…」
と小さな声で囁くと
「………うそ」と目を大きくして
小さなその白い手で口を押さえる。
なんでだろう、
胸の奥がきゅっとなって
目頭が熱くなった。
心の拠り所が出来た気がして
大声で叫んでしまいたいほど。
泣きそうな私に、不思議な顔をせず
「…わかります」とだけ
言ってくれた。
そっと私の手を握って
「会えて良かった」そう笑ってまた
ステージの方を向く。
この溢れでる気持ちは
なんだろう。
今彼女と2人きりだったら
私はきっと抱き付いて
大声で泣くに違いない。