第3章 gleen
「…大丈夫、ですか?」
隣の彼女が心配した顔で私を覗く。
「…すみません、ちょっと」
「…座りましょうか」
と私にペットボトルを渡し、
一緒に座る。
「…相葉くん、きっと気づいてくれますよ」
と笑ってくれたその笑顔で
なんだか少しだけ胸が軽くなった。
「…はい、…お水頂きます」
「どうぞどうぞ!私もう1本あるんです!」
と自慢げに鞄から
ペットボトルを取り出して見せると
「こっちに来ますよ」
とはしゃぐ彼女。
座っているせいで、
やっぱり雅紀くんが見ずらくて。
席を立とうとしたけれど
一瞬立ちくらみがした。
「まだ座ってましょう」
彼女に支えられもう一度席に着くと
雅紀くんと目が合った。
一瞬驚いた顔をしていたけれど、
なんとか誤魔化して
笑顔で手を振りながらこちらに近付き
なんだか口をパクパクさせて
左目をパチパチ、
ウィンクのつもりだろうか。
わたしが頭に?を浮かべていると
アゴで何かを指すような合図の後、
私にニッコリ笑いかける。