第3章 gleen
誉め上手な彼のお陰で
気分のよくなった私の口が饒舌になる。
「織姫がベガで、彦星がアルタイルなの」
「うっそ、そうなの?
ただのお話かと思ってた」
「そう言えばもうすぐ天の川の時期だ」
「仲良すぎて仕事しなくなったから
神様が怒ったんだっけ?」
「そう!よく知ってるね」
「ふふ、うん、母ちゃんが昔
仕事しないと好きな人と一緒にいれないよ!
て何回もその話で脅されたから」
「あはは、なんて素敵な怒り方」
「でもさ、俺思ったんだ」
「ん?」
「ちゃんが織姫だったら
俺も彦星と同じになるかもって」
私を見つめる彼と、背景の星空が重なって
雅紀くんの瞳にも、まるで星空があるかのよう。
そんな甘いセリフを言われたからか
もう吸い込まれてしまいそうだった。