第2章 red
また少し動いた彼が
枕に顔を埋めるようにして。
その姿につい、
「…ふふ、」と漏れる声。
愛しくて
その頬に唇を当てた。
顔を離すと
目を開けて笑う彼。
「た、狸寝入り!」
「ぷ、ははははは
違うよ、たまたま起きたら
あなたがキスしようとするから
慌てて目瞑ったんだよ」
「…そ、そっか」
「そっかって、ふふ…、あれ、もう昼?」
カーテンから差す日に
彼が目を細める。
「そうだよ、もう1時過ぎ」
「…そっかぁ、」
んー、と寝たまま伸びをする彼。
「いいよ、疲れてるんだから
このままゆっくりしてよ?」
「いいよ、どこか行きたいとこある?」
「ううん、大丈夫
今日は翔くんの誕生日なんだから」
優しいなあ、と笑って
「じゃあ今日はずっと一緒にいてくれる?」
と言った。