第2章 red
目尻を細めて優しい顔した彼が
私の腕を引き、そのままベットへと
引きずり込む。
後ろから私を抱きしめると
「んー…いい匂い」
と私の首筋に吸い付いた。
「…しょう、…くん」
つい、ゾクゾクっと背筋に何かを
感じて声が漏れる。
「…それ、わざと?」
「な、なにが」
「その声、俺が好きなやつ」
顔が見えないせいで
かすれるような低い声が
いつも以上に私の心臓を跳ね上がらせた。
そのドキドキが収まらないまま、
回された腕をギュッと掴んで
「一緒にいてくれて、ありがとう」
そう呟く。
少しの間が開いて、後ろから
「ちょ、ちょ、ちょちょっと待って」
とさっきとは違う雰囲気の彼が
そのまま体を起こし背筋を伸ばすと
一度コホン、と咳払い。
「…うん、そんなこと言ってくれて
こちらこそ、ありがとう」
と正座をして頭を下げた。
顔を上げた彼が
あまりにも真剣な顔つきだったから。
「…ふ、あ、ははは!」
「なんで笑うの!俺真剣だったよ!」
「あー…違うの、いやソレはあれだよ」
「なんだよアレってー」
頬を膨らませて
正座を崩した彼を見て
また込み上げる、それ。
「…ふふ」
「あ、また笑ってー!」
ばかにしてるでしょー!
と言う彼に
違う違う、と笑った。
愛しくて、笑っちゃう
そんなのは彼といたらいつものこと。
こうやって同じ時間を過ごせたら
毎日笑って大変じゃない、
なんて幸せな悩み。
END.
「ちゃんのこと
こんなに長く居ても毎日好きになる俺って
若干変態じゃない?」
「うん、十分変態だね」
翔くんは時々
本気なのかフザケているのか
わからないくらい、
真面目な顔して馬鹿なことを言います。