第6章 『ブッキングデート』
「あ、ラビさん」
「ウーリエちゃん! ナイスタイミングさ! ……だれ?」
「リヴァイさんです。私の、えぇと、主人です!」
「主人!? はぁ?主人!? ちょ、ちょいまち! え?ウリエちゃん人妻さ? 人妻?」
「人妻? いえ、ちがいますが」
「ちがわねぇ。俺の妻になる女だ、用件があるならさっさと済ませろ」
赤毛をぴょこぴょこと揺らし、片目を眼帯で隠した高身長の男。
リヴァイはその男を睨み上げ、こいつがウリエを助けた男か、頼りなげだな。と心の中で呟く。
「ラビさん。今日はどちらへ向かうのですか?」
リヴァイの鋭い視線とその視線に焦る、二人より20センチほど身長の高い黒い服に身を包んだ赤毛の男ラビ。
自分より低い身長の男から、言われもない視線を浴びせられ、固まっているラビの前に、知ってか知らずかリヴァイの視線を遮る様にウリエが割って入る。
「え、あ。今日はウリエちゃんにかわいい服を買ってあげようと思って……いいさ?」
「リヴァイさん」
「……好きにしろ」
「じゃ、じゃあ好きにする! いこうぜウリエちゃん」
はい。と笑顔でラビに答え、歩きだしたラビに着いて歩き始める。
「……ちょ、ちょっと待って!何で付いてくるんさ!」
か弱そうで守ってあげたくなるような、まるでお人形さんの様なウリエを心配して振り返ると、当たり前だと言うようにリヴァイが付いて来ていた。
「俺はこいつの飼い主だ。着いて行って何が悪い」
「飼い主? は? いや、今日は俺とデート……いやっ、その。もちろん手は出さない! な?」
「ウリエが、お前に助けられた礼をしたいと言うから今日は許したんだ。服を買うなら買っていい、好きにしろ」
「そうじゃなくって! どうして着いてくるんだ? その、ダンナなのはきちんとわかってる」
「こいつが、迷子になるからだ」
こいつ。と言って二人の視線を集めたウリエは、にこりと二人に笑顔を向けるばかり。
(や、ヤバイさ! ストライク過ぎるっ!)
ラビにはウリエの朗らかな頬笑みが目に痛いらしい。
手で顔を隠し、くぅ。と声を漏らす。