第3章 夏には奴らがやってくる。
「ありがとう織田さん」
「このくらい礼には及ばん。」
「だが、あれだけ青ざめて助けを求めてたから、てっきり盗人かと思えば」
「ゴキ○リとはな…」
「あーーもうその名前は口にしないで!」
「せめてGにしてください。」
「そんなに嫌いか?カブトムシとそう変わらないだろ」
「カブトムシが泣きますよ?」
「まあ、いい。それじゃ帰るな」
「うん…ありがとう」
作之助は扉を閉めようとしていたが、思い出したかのように再び扉を開け
「これ。困ったときはいつでも呼べばいい。」
作之助がくれたのは携帯電話の番号だった。
「ありがとう!織田さん」
「ああ。あと、さんはつけなくていいからな、」