第3章 2人の時間
「今、紅茶淹れますね」
ユイはキッチンに向かい紅茶とお菓子の用意をした。
しばらくしてユイがベッドのそばに紅茶のポットとクッキーを持って来た。
「こんなにすぐに来てくれるなんて思わなかったよ・・・俺、少しは期待してもいいのかな?」
ノエルは身体を起こし、にっこり笑ってユイを見る。
「ノ、ノエルさんは大事なお客様ですから」
ユイは動揺を隠しながら紅茶をサーブする。
「大事なお客様で? 来ないと寂しくて?」
ユイは紅茶をこぼしそうになった。
「ノエルさん! からかうの止めてください!」
「からかってないよ。真剣に聞いてるんだ」
ノエルは真剣な瞳でユイを見つめる。
「ノエルさん・・・」
「聞かせて? ユイちゃんの気持ち・・・」
ユイは恥ずかしくて目をそらしたまま答えた。
「・・・ノエルさんが怪我したって聞いて、私・・・心配で胸が張り裂けそうでした・・・」
ノエルはユイの身体を引き寄せ、ぎゅっと抱きしめた。
「ノ、ノエルさん!」
ユイは慌てて離れようとしてノエルを押し返す。
「いたたた」
ノエルが胸を押さえる。
「きゃあ! ごめんなさい! 大丈夫ですか?!」
ユイは慌ててノエルを覗き込む。
ノエルが再びユイを胸に抱きしめた。
「捕まえた♪ ユイちゃん癒して♪」
(ま、また・・・)
ユイは真っ赤になりながらも今度はじっとしてる。
ノエルの声が急に真剣になる。
「ごめんね、心配かけて」
「いえ、大した事なくてよかったです・・・」
「俺、警察官だからこの先も怪我とかして心配かけるかもしれないけど・・・ユイちゃん、そばにいてくれる?」
「・・・はい・・・私でよければ」
ノエルの腕にギュッと力がこもる。
「・・・ハハッ、これ、夢じゃないよね?」
ノエルは花が咲くように笑った。
その笑顔を見てユイは胸が高鳴った。
(私、ノエルさんのことがこんなに好きだったんだ・・・)
ユイは恥ずかしくなり、ノエルをまっすぐ見れなくなって視線を外した。