第2章 02
全ての幼馴染みに通じるものとは思わないが、私たちの場合住まいが近い。
それにも関わらず顔を合わせる機会がないのは、前にも述べた通りに赤司が部活動に参加しているからだった。
学年も一つ上がり二年生へと進級すればバスケットボール部の副主将だった幼馴染みは主将へと昇格していて、更には生徒会長を兼任始める始末。
対する私は参加している部活動などない。強いて言うのなら帰宅部だ。
運動部の幼馴染みと帰宅部の私。
生活スタイルがものの見事に違うため、登校時間に会うことも帰宅時に会うこともなかった。
それが中学生最高学年、三年生ともなれば尚の事擦れ違いは生じるもので、家族付き合いが続いていても多忙な幼馴染みに会う確立は一欠片さえも存在しない。
私たち幼馴染み同士の遭遇率がどれだけ低いか、理解してもらえたことと思う。
遭遇率、なんて確立さえも存在しない私たちの間にあるのは空虚だ。
それなのに、どうしてこうなったのか私は知りたい。
「聞いているのか、」
なぜ、どうして、なにゆえ、幼馴染みの赤司が隣を歩き、あまつさえ説教を垂れている状況にあるのか私には全く分からなかった。
顔を合わせるのは久し振りで、最後に会った日を遡るのも面倒なほど久しい再会だというのに、そうして久し振りに会った幼馴染みへの第一声が説教というのは不快でしかない。
なんでまた、このタイミングで遭遇してしまったのか。溜息を吐くことで不快さを逃がした。