第1章 01
こんな関係が、私は嫌いだ。
そもそも私が幼馴染み以上の感情を抱かなければ良かったものだが、好いてしまった今では嘆きしか生じない。
勝手に好きになったのは私。
勝手に距離を作ったのも私。
悪いのは全て私だと分かっている。
それでも思わずにはいられない。
幼馴染みなんて、望んでいなかった。
「そう?幼馴染みなんて、たいした関係じゃないよ?」
幼馴染みでなければ、一生徒として皆と同じように出逢っていれば、少なくとも家族として見られることはなかったかもしれないのに私にはその可能性が皆無だ。
私を羨む人全員が、私にとって羨むべき存在だった。
なんて不毛な想いなんだろう。
何度思ったか知れない。
どうせ好意を抱くのなら、普通に出逢って、普通に恋をして、些細なことで一喜一憂したりして恋愛を楽しんでみたかった。
私にとって、今の関係は枷であり柵でしかない。
かといって現状を変える力も勇気も、度胸もない私は溜息を吐き出すだけしか出来なかった。
なんて臆病なのだろう。
本当は幼馴染みだろうが何だろうが、告白を済ませて早いところすっきりしてしまえば良い。
それなのに臆病な私は振られると決定付けられた未来に怯えている。
煮え切らない。
だからこそ他人を羨み溜息を逃がすだけに留まっている。
彼の隣にいるのは私でありたいのに、叶わないのだと思い知らされるこんな中途半端でしかない特別な関係なんて、嫌いだ。
そう言って逃げ続けている私も、嫌いだ。