第3章 03
何度でも言おう。私と赤司は幼馴染みの関係にあるが遭遇率は地を這うほどに低い。
私生活で顔を合わせる機会のない私たち幼馴染みは、同じ中学校に通っていても校内で顔を合わせることさえ殆どなかった。
中学生活も三年目となる私たちは劇的にも同じクラスになることがなかったのだ。
帝光中学校に在席する生徒数は多く、よってクラスも数多く存在する。
同じ学年だからといって、このマンモス校と名高い中学校でクラスが異なればそれだけで会う確率は一気に下がるものだった。
それでも赤司の名を聞かない日はない。
彼が帝光中学校内で一躍有名なことが一番の理由として上げられる。
テスト順位が発表された時やバスケの試合があった時など、時には幼馴染みの友人関係なんかの噂まで流れてきた。
どうやら赤司と交友がある生徒も有名らしい。
勝手に入ってくる噂に耳を傾けていれば同じ部活仲間であるようで聞く機会も多く、おかげで私も彼等の名前を覚えてしまった。
無論、赤司本人から交友関係を聞いたことはない。
逐一私が噂を確認しているわけでもない。
顔を合わせないのだから当たり前なことだし、聞き出したところであまり意味もないと思っている私の元にも話が届いてくるのは他にも、例えば些細なプライベートさえも話題にされている幼馴染みの噂が飛び交う最中に巻き込まれているせいで勝手に情報が手に入る状況にあるからだった。
「赤司くん、また学年トップだったね」
それを私に言ってどうする。
試験期間に入る度に毎度思うことが今回も繰り返されている。