第4章 そして僕等は堕ちてゆく
【気にいらない気があわない】
「ホントにいいの?」
キラキラの目ぇして、差し出した袋を覗き込む雅紀
「たまたま買えたんだよ」
「2つも?すげぇ‥‥
じゃ、1つはニノで、もいっこは俺のね」
そして、後ろに振り返り、当たり前のように誘った
「しょーちゃん!昼メシ、一緒に食おうよ。焼きそばパン半分こしよう」
そのまま、櫻井を空き教室へと引き連れ
半分に割った、焼きそばパンを得意気に渡す
「ウチの学校の焼きそばパン、超ウマイの!」
「いいの?二宮君、いただきます」
爽やかに笑う、その自然な素振り
とりあえず、無愛想に頷いた
「うまっ!」
「でしょー?」
っつか、買ったの俺だし
第一、雅紀がパン半分で足りるわけねぇんだって
開けたばかりの焼きそばパンを
半分に割ろうとした俺の目の前で
空いた袋をキレイに折りたたみ、笑顔を見せる櫻井
「どうせそれじゃ足んないだろ?
お礼になんかご馳走するけど?‥‥学食だけどな」
「マジでっ!?」
「嘘言ってどうすんの。二宮君も良かったら」
「‥‥俺は、」
「しょーちゃん!俺、カレー食べてもいい?」
「いいよ(笑)」
ちょ!なに行く前提で話進んでんだよ
お前、食いもんくれるヤツだったら、尻尾振ってついてくのかよ
「ニノ?どしたの?」
だからと言って、
1人残されんのも、納得いかない
「‥‥なんでもねーよ。行くよ」
奢ってくれるってゆーし
仕方なくだよ
男3人、仲良くランチってか?
なんで、こーなってんだ
大盛カレーを幸せそうに頬張る雅紀と、蕎麦を啜る俺
「二宮君も蕎麦にしたの?俺もだよ‥‥気ぃ合うね」
は?
たまたまだし
気なんか合いたくねぇよ
大体、お坊ちゃんのクセに、蕎麦なんか食って
"俺、案外庶民派なんです"って、アピールしてんのか?
なんっか
気にいらねぇな、コイツ
「しょーちゃん!ありがとー、すげーウマイ!」
なんかって‥‥
雅紀の、コイツに向ける笑顔が、一番ムカつくんだ
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