第3章 汚ねぇ大人になるように
【ひとかけらの希望】
穏やかな日常
変わり映えのない時間の中に、
アイツが存在するようになって
少しは俺も、高校生らしいかな‥‥なんて思ったりした
今までは、
昼間は、当たり障りない学校生活を送り
夜は、奉仕し身体を捧げる
それが、現実で当たり前だった
だからこそ、
バカバカしくて、思い出にもなんないよーなクダラナイ時間が、
俺にはくすぐったくて
何より眩しかった
「じゃ!バイト行ってくんね!バイバイ、ニノ」
「お~!ガンバレ」
校門で雅紀と別れ、帰ろうとした俺に
思わぬ人物が飛び込んで‥‥
‥‥ってか、完全に忘れてた
「‥‥カズナリくん」
涙を浮かべて、訴えるように睨んでくるけど
「どういうこと?」
「‥‥なにが?」
「あれっきりって‥‥ひどい」
ヤってからってことね?
「お店に会いに来てくれるの待ってたのに」
仕方ないでしょ?
もう、用ないんだもん
「それに‥‥マサキくんと知り合いなの?」
ああ‥‥
今の見てたんだ
「ねぇ、お互いに楽しんだからいいじゃん。
俺、付き合おうなんて言った覚えないよ?」
「なに‥‥それ」
我慢出来なくなったのか、ボロボロ泣き出す彼女
そこで漸く、有名女子校の制服を着てる事に気付いた
他人事みたいに、へ~、なんて感心してると
「マサキくんは、知ってるの?」
脅すみたいな言葉で、俺を睨む
「私とのこと」
俺はニッコリ笑って、
人目も気にせず、彼女を塀へと追い詰めた
「アイツになんか吹き込む気?」
「やっぱり、知らないんだ」
「だったらなに?言いたきゃ言えよ。俺とヤったって?」
顔色も変えず、淡々と言う俺に彼女が一瞬怯んだ
「マサキくんは、私を好‥‥」
「だから?」
そんな言葉聞きたくない
「‥‥こんな人だって思わなかった!」
こんな人?
「なに言ってんだよ?これが俺だよ」
平気で嘘ついて
誰とでも寝れる
それが俺だ
「アイツになに言ってもいいけど、タダじゃ済まないよ?」
アイツとの時間だけは‥‥
絶対、誰にも邪魔なんかさせない
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