第2章 無限に続く愚かな優しさ
【なにも知らずに】
空になったワイングラスが、
目の前に置かれたまま、その存在を主張してる
戯れ事の合図のソレが‥‥
俺に違和感と妙な不安を与えた
「ユウさん、今日は気分じゃない?」
ユウさんの座るソファーに近付き、甘えるように身体を寄せる
「そんなコトないよ?‥‥ここには、カズを抱きに来てんだから」
「じゃ‥‥シよ?」
「カズこそ、最近おかしくない?」
ユウさんの言葉の意味がわからない
俺は何も変わってなんかない
「他の誰かを連れて来た事なんて、今までなかったよね?」
ユウさんは、そう言って微笑むけど
瞳の奥は全く笑ってなくて‥‥
まさか、ユウさんが雅紀に嫉妬なんかしないよな‥‥
疑心暗鬼なまま
唇を重ね、シャツのボタンに手を掛けた
自分の服も脱ぎながら肌を合わせ
胸の突起に舌を這わせながら、
ユウさんのスラックスを開き、掌を差し込む
反応を感じたその部分に安心して、そのまま指先で刺激し始める
「カズは、あの子とヤる時どっちなの?」
「‥‥へ?」
「あの子のが大きいけど、慣れてんのはカズでしょ」
思いも寄らない問いかけに
一瞬、ポカンとしてしまう
ユウさんといる時、気を抜いた事なんてないのに‥‥
「アイツは、そんなんじゃないよ」
「そう?」
「そうだよ。それにアイツ、童貞だしね」
ワザとバカにした素振りで言って‥‥
取り出したユウさんのモノを、そっと口内に含んだ
いつもみたいに、ユウさんが頭を撫でてくれる
いつもと変わらない流れ
だから、
もう、この話は終わったのだと‥‥
俺は安心していて
「‥‥綺麗な子だったからね。
カズを盗られるんじゃないかって、心配したよ」
その言葉の‥‥ホントの意味なんて知らずに‥‥
新しい玩具を見つけたら欲しくなる
それは人間の性で‥‥
かつて昔、ユウさんが俺を選んだ時のように‥‥
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