第2章 無限に続く愚かな優しさ
【束の間】
音が響かないよう、そっと鍵を差し込み
ゆっくりとリビングに向かった
だけど、気配と同時に、
半透明のアクリル部分に人影が映って、そのドアを開けると
「ニノ!」
笑顔でヤツが迎えてくれた
「起きたんだ?」
「うん、さっきね。どっか行ってたの?」
「ん~、コンビニ」
袋をテーブルに置くと、雅紀は大きく目を見開く
「なに買ったの、こんなにたくさん。パーティーでもすんの?」
思った通りのリアクションに、吹き出しそうになる
「ちげーよ(笑)腹減ってんだろなって思ったの」
テーブルに買ってきたものを次々取り出し
おでんのパックを相葉に渡した
「わ!温かい!‥‥これ、食べていーの?」
「だから買ってきたんだろ」
早速、割り箸を取り出し、いただきます!と両手を合わせた
俺は、おにぎりを頬張りながら、見てないフリして、‥‥ずっと見てた
「やっぱさ?おでんは大根だよね?俺、大好き」
「そー?良かったな」
「うん!」
明らかにいつもと違う空気
コイツがいるだけで、部屋が暖かい
暖房やおでんのせいじゃないよ
「今日は泊まったら?服、乾燥終わってないし」
「‥‥いいの?」
目だって腫れてっしな
笑顔を見せてはいるけど、無理してんのバレバレ‥‥
長い付き合いでもないのに、らしいなと思ってしまう
『明日も休みだし
ゆっくりしたらいい‥‥』
そう言葉にしようと、
ミネラルウォーターのペットボトルを傾けた時
雅紀の思わぬ言葉に、体が強張った
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