第11章 世界にひとつだけの花
【世界にひとつだけの花】
その日は突然、訪れた
「オニイサン、俺、飼わない?
‥‥ハジメテだからさ?調教しがいがあると思うよ♪」
憂いある、澄んだ茶色い瞳
少し勝ち気な物言い
口角を上げる仕草も
細くて白い肌さえも
……あなたの面影と重なる
どんな運命の巡り合わせか
「‥‥面白いね」
口端で微笑み
君の面影を残した少年を、部屋へ通した
「今からテストしようか?楽しませてくれたら、話聞くよ」
黒いソファーに腰を下ろし、
"彼"を見つめた
いつか見かけた"あの時"の
小さな男の子だと、直ぐに気付いた
僕だけには、知られたくなかった?
自分を偽って、演技してまで、守りたかった存在だもんね
君を求める僕には……
この子に流れる、あなたと同じ血が愛しい
代わりに愛せるよ
あなたの忘れ形見だからね
だからこそ、同時に憎い
あなたの愛が注がれてた、僕以外の人間は許せないから……
「カズ、お前の望みは?‥‥いいよ。僕専用で飼ってあげても」
生意気に笑って
猫みたいに甘えて
「じゃ、お願い事はねぇ♪あの女、早く捨てちゃって?」
どうやら、この子はとんだ勘違いしてるみたいだね?
あの人はもう、この世に存在してはいないのに……
いいよ
僕が、あなたの代わりに、この子を愛してあげる
いつか、あなたの側に行ける日まで
世界にひとり
たったひとつの花
あなただけ、
愛してる
ーendー