第9章 BAD KIDS
【屈従】
腕時計を覗き
"その時"がもう其処まで迫っているのを確認する
今の時点で、
此処まで動揺している二宮が、雅紀と対面したらどうなるか
刻々と迫る時を待つ俺の腕を
いきなり二宮が掴んだ
何も言わず、力任せに引き寄せ
逃げるように、
部屋を飛び出した
そんなに?
アイツが大事か
あの場所から救い出したいのに…、雅紀のプライドも守りたいだなんて
自分が、知られて辛かったからって?
「せっかくあと少しで、涙の御対面だったのに?」
空いてた個室に向かい合わせに座り
見つめた二宮は
酷く顔色が悪くて…
自分の握った手を見つめながら、
必死に何かを堪えているようだった
何か…なんてわかりきってるけど
「ま、お楽しみは、もうちょっと先でもいいかな」
そう呟いた俺に
「櫻井、頼むから…
雅紀から手を引いてくれ。
俺が憎いってんなら、気が済むまで…俺を好きにしたらいいだろ」
ソファーから降り、勢い良く土下座し
必死に言葉を重ね、俺に懇願する
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