第3章 ヒミツな関係
冷たくて気持ちいい…
口から水分が流れ込む…
空腹が少し満たされていく…
ゴク…ゴク…ゴクン
「牡丹大丈夫?」
「あ…れく…さま…?」
牡丹が目をさますとそこは、あの日の行為で思い出があり忘れるはずのないアレクのベッドの上だった。
空腹でお腹を空かして倒れていた牡丹に、口移しで水をくれた。水で気持ちばかりお腹は膨れたが、やはり空腹で目眩がする。
牡丹はふらりと横になっていた身体を起こすと、ベッドの近くにある机の上の豪華な食べ物が目に入った。
そこには、お皿いっぱいに乗ったパンとまだ作りたてなのか湯気が上がってるハンバーグが置いてある。
それを見てお腹は正直に反応してしまった。
ぐぅ
部屋に牡丹のお腹の音が響く。
恥ずかしくて俯いたが、アレクはくすくすと笑う。
「いいよ。これは牡丹のために作ってもらったやつだからお食べ。」
「そんな、滅相も無いです。」
アレクはそっかと呟き、パンをちぎり口に運ぶ。触れなくてもわかるぐらいふっくらとしたパンを口に運んだらとっても幸せな気持ちに慣れるだろう。
メイドの食事は見るから硬いパンと、野菜の捨てる部分で作ったスープ。
毎日同じ味でいつか違う食べ物を食べたいとずっと思っていた。
「ん…?!」
アレクにキスをされたと思ったら、口移しでパンを入れられた。
アレクの唾液で湿ったパンをもぐもぐと噛み、ゴクリと飲み込む。喉を通りお腹が膨れるのがわかる。
「自分で食べれない牡丹には、全部口移しで食べさせないとダメなのかな?なんて手間がかかるんだろう。次はハンバーグ食べようね。」
「自分で食べれます!」
牡丹は慣れないナイフとフォークを使っていそいそとお皿の上の物を平らげた。