第4章 導きの星は誰を照らす
『・・・眠っているのか?』
この声は・・・・誰の声・・・・。
『・・・・・疲れていたのか』
あぁ、そうだ・・・久々に、薬の調合を手伝っていて、その時に倒れたんだった。
私を心配する・・優しくも、落ち着いた声・・・
髪に触れる手は、ガラス細工を扱うように優しく包み込むように、頬に触れる手の感触は暖かい・・・。
あぁ、そうか・・・ルプスが帰って来たんだわ。
愛しい、可愛い、何よりも大切な私の宝物
愛しい我が子。
星の瞬く夜空の様な紫がかったようなどこか青みがかったミッドナイトブルーの髪
深い紫色の瞳は、夜と昼との狭間の空の色・・・黄昏とも有明ともとれるミステリアスで・・・・。
どこをとっても私に似てなくて・・・あの人にそっくりで辛いけれど・・・・・なにより愛しい。
笑った表情も泣いた表情もコロコロと変わって私にそっくり。でも、ふと考えたり、遠くを見ているの時の顔は・・・驚くほどあの人に似ている。
一人の寂しさもあの人に会えない悲しさもあの子がいたから癒された。どれ程慣れぬ国であの子の存在に救われただろう・・・他には何もいらない・・・。
そう思える。
そう思っているのに・・・・・・。
『・・・・・・・・ステラ』
あぁ
駄目だ・・・・こうして目を閉じていると、あの人の声と重なってしまう。
『今の状況が片付いたら、必ず迎えに行く』
会う資格なんてない
『この指輪がある限り必ずお前を見つける。』
探す必要なんてない・・・。
なのに、
『お前の居場所はここだ・・・。』
思い出が私を甘く唆す・・・・。
何もいらないと・・・望まないと・・・誓ったのに我儘になってしまう。
「・・・・あいたい」
『ステラ・・・』
ふと、不思議に思った・・・あの子は私の名前を知らないはずなのに・・・なぜ?
目を開けると、思い描いていた通りの髪と瞳の人間がいた。
唯一違うのは、片側の眼を眼帯で覆っているだけ・・
「うそ・・・どうして?」