第4章 導きの星は誰を照らす
「どうだ。他国の様子は?」「王よ、それでは間諜のようではないですか?」「おっと、しまった。つい、な。ウィスタリアやシュタインに関しては6年前からあまり情報が来なくなったから。有力な情報は、交易がないとはいえ聞きたくてな」
大陸内での交易は隣国だけで控えている我が国だが、海を渡った小国や大国との交易はかなり積極的だ。
「私自身は学ぶべきことが多く、充実しています。
やはり大国ともあって文化など択一したものがあるかと・・・石造りの建物や木造建築もどれも優美でこの国にない洗練された美しさが印象的でした。
と、いうかこの間ウィスタリアから使者が来た筈ですが?」
「あぁ、この村について見て回りたいと言われたので、許可を下した。何やら急ぎだったらしく、あまり話を聞けなかった・・・。」「ウィスタリアは何を思ってこの村に来たのでしょう?」
推察するに例の行方不明のプリンセスについてだろう・・・隣国ではもう周知の事だが・・・・、部外者が口に出すことでもないだろう・・・。
「さぁ、俺不祥事は起こしてないとは思います」「「何だつまらん」」「・・・・・・・・・・」
退屈を嫌うお二人らしい言葉である。
「そういえば、ははさまには会いましたか??よければ」
「いや、いい。いきなり来ては恐縮されてしまう・・・」「久方ぶりの休暇、親子水入らず大切に過ごすといい、これは土産だ。今度来たときは馳走になる。」
手渡してくれたのは野兎・・・血抜きと皮は剥いであるな・・。礼をすると都に戻るための準備をしだす
「・・・あの、」「ん?」「何だ??」
「お二人はウィスタリアのプリンセスにお会いしたことは・・・?」
「ウィスタリアのプリンセス・・?たしか、以前一度、招待状が届けられたことがあったな?」「正確には違います。当時プリンセスと婚約関係だったシュタインから舞踏会への招待状を。残念ながら体調を珍しく崩されており、陛下は参加できませんでしたが、一人参加された王妃様から話を聞いたのか、後日文が」
「おぉ、思い出した。ただの風邪だというのに丁寧な文をいただいたのだ。優しい心が伝わってくる手紙に妻も感動していたな。」「・・・・てがみ?」
「どうかしたのか??」
「・・・・いいえ、あの、差支えなければ今度、その文見せていただけますか」
「構わんが」
まさか・・・ね