第4章 導きの星は誰を照らす
「ん・・・・朝?」
目を覚ますとベッドと机と椅子・・・・必要最低限の物しかない母の部屋・・・。
作りかけの花のブーケが机の上に置いてある。
こんなに熟睡したのは久しぶりだ。夢すら見ずに・・・が、
「あの時、ははさま・・・・なんて言ったんだろう?」
夢うつつで覚えていない・・・けど、
とても悲しそうだった。
作り置かれていた朝食を食べ、外に出る。蒼天に心地よい風と共に木の打ち合う耳に響く音・・・。
広場に行くと、幼い子供と年若い若者たちが細長い棒片手に打ち合っていた。
その中で恰幅の良い壮年の男性が長身の細身ながら引き締まった体の男性と話をしている。
「師匠!!王様!!?」
「おおっ!ルプス・・・元気そうで何より」
太鼓の様に出たお腹を重たそうに歩きながら頭を撫でに来る男と・・。
「・・・・息災か?」
少し感情の読みにくい静かな目を弓弦を引く様に細める男。
「はい!お二人もお変わりなく、ようこそ村へ」
「視察の帰りでな、すこし寄らせて貰うだけの筈が、稽古をつけてくれとせがまれて・・な」
「ついでにお城の兵士にしてくれ・・・とも」
それで相手をしていたというわけか
この国の基本的な武器は、長物と弓である。
もちろん嗜みとして剣も習うが・・・剣は狩用として使われることが多い・・・というか狩りでの扱い方を教えてくれる。
対人用の武器はこの二種と言えて、この国の兵士になるには特に棒術が必須だった。
「弓の稽古はどうだ・・・?」「弓も引けないやつに棒術は教えんぞ」
弓術は国技であり、上手い下手はあれど、子供でも引ける・・・というか、基本森の生き物を自分で狩って調理するので嫌でも身につく・・・。
「引けますけど、腕なまったかもしれません。向こうは剣やアーチェリーが主でなかなかやる機会がなかったので、でも、武術大会勝ちました。みんな棒術に慣れてなかった上、俺の事完全ナメテたので・・・」
「がははは!そりゃいい!!!」「剣に慣れているものには棍はさぞ苦戦しただろう」
愉快そうに笑う二人に稽古をつけてもらう。
結果は惨敗だが、動きがよくなったと褒めてもらった。