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[イケメン王宮]グッバイ!racrimosa

第4章 導きの星は誰を照らす


 昼が過ぎると食堂にいたお客さんが出て行き、代わりに宿屋に泊る客人がチェックインしにくる。

 「さて、今日の湯に使う薬草は・・・・」

 客人が荷物の整理や村の散策に行っている間に湯の支度をする。
 大浴場には毎日違う薬草を入れ香りや効能を楽しめるのでこれを目的に宿屋に来る人も多い。

 その準備が終わると母も少し休みをとる。

 大体は機織りをしたりサシェやポプリを作ったりするが

 「”光はどこからやってくる? 空からくるの
 空からきてどこにゆく? 草の中に行くの
 そしたら金の稲穂になるの
 
 光はどこにあるの? 稲穂の中にあるの
 稲穂はどうするの? 私の手の中にくるの
 そしたら 金の糸になるの
 
 金の糸はどうするの? 綺麗な布に仕立てましょう
 綺麗な金の織物に 可愛い子供のおくるみに
 そして光は 子の中に 私の愛しい子の中に
 私の大事な光の子 そして空に昇るの 光の元に帰るの”」

 時折、人のいなくなった食堂で歌を紡ぐ この歌が好きでよくレグルスも聞きにくる。
 
 
 「さぁ、今日のお夕飯は他の人が作ってくれるから今日は一足先に帰りましょうか?」
 宿で出される夕食は母が作り置きしたり希望があれば食堂で作るが、それでは母が大変だと何かと村の女性が作りに来てくれる。大概母はそれも断ることも多いが今日は特別だ。

 「今日は薬師様が帰ってくるから、またご馳走作らないとね」「薬膳なんてどう?」「う~ん、捻りがないって怒られないかな」「俺が作るよ」そう言うと母は優しく微笑み頭を撫でてくれる。
 「だ~め」
・・・・・・・・・・・・・・・
 僕たちが今、住んでいる家はもともとは薬師様が住んでいた家だった。母と僕の住居は宿屋の中にあるが、それだと母が休まらないだろうと、薬師様の家に間借りさせてもらっていた。
 
 「にしても、この子の働きっぷりアンタにも見せてあげたかったよ。優秀だったわ。」「そうなの。」
 「アンタより優秀よ。少しはこの子に甘えて休んだら」
 「それとこれとは別です。自分に出来る事はしたいの。」
 「ルプスも同じだよ。ははさま」
 本当はもっと頼ってほしい。薬を飲んでいるとはいえいつ発作で倒れてしまうかわからないのだ。安静にしているに越したことはないのだ。
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