第4章 導きの星は誰を照らす
「しばらく経った頃。外から悲鳴が聞こえてくるようになった。
若者は家から出る。外にはやせ衰え砂と化した大地。荒れ果てた畑と食い荒らされた家畜と傷ついた集落の人達だった。
聞けば、あれからも狼が度々田畑を荒らすことがあり、そして今日とうとう群れでこの村を襲いに来たのだ。
村の者たちは嘆きました。傷ついた手足では満足に畑を耕すことはできない。家畜も死んでしまったこのまま死を待つしかないのではないかと。
村の皆は、動けるものだけで森へと向かう事にした。森ならばおそらく木の実があるし、狼を根絶やしにしよう。と若者も参加することになった。
以前にも森に入ったことがあった筈の森は薄暗く静かだった。若者は以前木の実を取りに行った場所を目指した。
しかし、そこに樹はなかった。あったのは大きな切り株と狼達の屍。森のいたるところに生えていた草木も萎れ、食べれる木の実はおろか毒性の強い草木も何もない。一匹の狼が目の前に立っていた。真っ白の痩せた狼。
若者はようやく気付いたのだ。自分の罪を若者は森を探索していた者達に先に帰る様に伝え、家にわずかな木の実の事と自分のした事を告白し一人森の奥へと消えた。
若者に託された人は急ぎ若者に言われた場所に向かい木の実を皆に分けた。しかし、木の実はすぐに底を尽きた・・・。 これからどうすればいいか皆の心に絶望がよぎった時
若者は帰ってきた。狼を引き連れて。若者はいくつかの種と狼を託しこう言った。
『この種を植えてください。この種が芽吹き、実を結ぶまで、狼たちがあなた方の手足となるでしょう。
罪の償いとして私は森に残り森を守る事になりました。
その代り二度と森が荒らされないように二度と餓える事がないようにしてください』
そう言うと若者の姿が変わる。真っ白な体毛と金色に輝く目をした狼にそして白い狼は森へと帰って行った。
若者から託された種は見る見るうちに育ち大地を潤した。託された狼は力強く野を駆け、獣を仕留め、水を運びんだ。 村の暮らしがよくなった頃、若者を迎えに行こうと村の者たちは森に入りましたが。白い狼に会うことはありませんでした。
それでも、村のみんなは若者にいつか帰ってくる時を願い、田畑を耕し森を守りそして森の狼を神として祀り、感謝と畏敬の念を持ってよき同胞として森の動物たちを村に迎えるようになったそうだ」