第4章 導きの星は誰を照らす
ババ様には、城下であった優しい花屋の事やお城で教えてもらった絵本の話など色々した。
「そうか、そうか。優しい人達に会ったんか、良きかな、良きかな。ほぅ〜、この茶は飲んだ事がないが優しいええ香りだ」ババ様のお家で花茶を入れながら話をした。花茶はばぁばから土産にもらったものだ。
「それにしても東の国には優しい物語が多いんじゃなー、だから優しい人が多いんだよ。ルナも、口は悪いが根は優しいこじゃて・・・。狼と同じ、あえて嫌われ者になって、大切な事を教えようとする。」「オオカミ少年?」「ははは、そうじゃなぁ儂が言いたい話はそうじゃないよ『白い狼』のお話さ」「白いオオカミ?ババ様も見たことあるの?」「ん?お前見た事があるのか??」「うん。森で迷子になって夜まで彷徨ってた時、夢かもしれないけど、ねぇ、どんな話?」
「むかしむかし、遠いむかしの話じゃて、この国がまだ小さな森と平地しかなかった頃、一人の若者がいた。若者の住んでいたところはとても貧しく、皆、食べるものに困っていた。若者は皆の為小さな森から木の実を取りに行きました。
森には豊富な食べ物があり、若者はたくさんそれを持ち帰り、皆に配りました。皆は大喜び。気をよくした若者は時折森を訪れ木の実を取りに行ったそうです。皆から感謝される度、皆の飢えが少しずつ癒える度、若者はこの先餓えることになった時を思い不安になった。若者は森にある木の実を全部取り自分の家に隠しました。
それからしばらくして森から一匹の狼が集落へと訪れるようになった。狼は田畑を荒らし、家畜を襲いました。
しかし、皆は慌てませんでした。時折森から狼がやってくるこの狼はけっして人を襲わなかったから。きっと気が立っていたのだろうと皆は思っていた。若者以外は
若者は狼は木の実を奪った自分に復讐しようとしているのだと、若者は怯えた。森に入ったことを
そして、それをだれにも話すことなく自分の住む家に隠れ生活をした。
皆は不思議に思った。あれだけ働き者だった若者が畑や家畜の世話をしなくなり家から出てこなくなったから、最初は心配し皆が若者の家を訪ねたが若者は扉を開くことはありませんでした。」婆様のしわがれた声が懐かしむように話す。