第4章 導きの星は誰を照らす
「お、宿屋の倅じゃねーか、まぁた帰ってきて。」
「なんだなんだ?むくれ面して、まぁた母ちゃんにフラれたか?」「女将さん忙しいんだあんま迷惑かけんな?」みんな目尻をニヤリと歪め、人の悪い顔して笑ってる。
「わーてっるよ!クソジジイーーッ!!」しかし、悪態をつけばなお面白そうに笑い飛ばす。 頭にきて大人相手に取っ組み合い。
「お!やんのかこのクソ餓鬼」というのは見た目だけで大人達は俺の脇腹を擽り出し、「何だ?お城の執事様は随分口が悪りぃーな」ジョリジョリする髭をほっぺにすり寄せたり「悪りぃな、随分可愛らしい顔してお上品なベベ着てんのにこいつは金にならねぇわ」頭を些か乱暴に撫でたり「そりゃあ、森育ちの悪餓鬼だからしょうがねぇわ」米神に握り拳を当て擦りだし、「きっと育った村が悪りぃんだな」「違えねぇ」二人がかりで俺を抱き上げ強制逆立ちさせたり、 「この村の子供なんだからしゃぁねーだろ!」笑いながらもう一度悪態をつけば、悪党面は鳴りを潜め、人の良さそうな笑みを浮かべまた頭を乱雑に撫で回す。今度は全員が、だ。
「お帰り、ルプス!」「随分遅かったじゃねぇか」「他国の執事はどうだった?」「虐められたか?お前ちっせーからみんな心配してたんだ。」「まっ!泣かされたら俺たちが直ぐに黙らせてやるよ。」「お前にゃ、無理だろ?自分の嫁さんにすら勝てねーんだから」懐かしいみんな俺の家族
「小さいは余計だよ。まぁ虐められはしなかったよ。舐められてたけど。だからこの前返り討ちにしてやった。随分離れた国だから森からなら最短一週間以内だよ。森に着くまで3日かかっちゃった。アウラが休まず走ってくれたんだ」おかげで4日目の夜になる前に着いた。
「さっすがアウラだな」「あぁ、あんな良い馬、国王様だって持ってねーぞ?」「で、他国の王様ってのはどんな感じだ?前に来た調査団の奴は厳つい上お高く止まってるくせに悪党ヅラでよ〜」おそらくシドの事だろう。
「おっさんには言われたくないと思うよ」そう言った直後違いない。と周りの男は笑い出した。