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[イケメン王宮]グッバイ!racrimosa

第3章 里帰り


 長閑な村を小さな馬車が駆ける。轍の一定の音揺れる馬車に持たれ小さな子供が座っていた。
 大きめの外套は見るからに大人の物で子供の体をすっぽりと覆っていた。
 手には少し大きめの荷物・・・・村に帰ると行った時に城下の人や城の人が持たせてくれた・・・。
 生菓子や生花なども多く道中に食べたり、押し花にした。

 馬車で揺られ、空を眺めると心は少し穏やかだった。最初に馬車に乗った時は不思議と怖かったのに・・・。少し感慨深い・・。

 「ボーズ、もうすぐ言われた場所に着くが、本当にいいのか??この先は森しかねーぞ?」「はい。大丈夫です・・。」一礼をして、馬車を下りる。
 城の馬車を使ってもいいと言われたが丁重に断わった。
 護衛とか冗談じゃない・・・。旅の醍醐味は風の向くまま気の向くままだと、村の人やアルス国王が言っていた。
 それを実践しようと思い、旅立ったら、道中この馬車が親切にこの目的地まで乗せてくれた。

 「つってもなー。こんなちっこい子を一人で置いてくのも、乗りかかった船だしどこに向かうか教えてくれないか?」「森を抜けた先に用があるんです。」
 その一言でザァッと蒼ざめる。
 「冗談だろっ!?そりゃあやめた方がいい。あの森は入ったら出られないっつーいわくつきの森だ!
 昔、この国のお姫様が一人で入って以来行方知れずって話だ。やめとけ」「大丈夫ですよ・・・。」
 「しかしなぁー」「迷信ですよ。少なくとも俺は大丈夫です。俺、森の向こうの住民ですから。それに、迎えがきてくれてますから」そう言って男の子が手を上げる。
 森の向こうから真っ白な光が差し込んだ・・・否
光が飛び込んだかと思うほど神々しくも美しい一頭の馬と一羽の鷲。
 子供の差し出した腕乗るととても大きく見えるがやや若い雛鳥。
 「レグルス・・・」少年が声をかけると恭しく頭を下げ甘え啼きをする。応えるように優しく頭を撫でてやる。
 それを馬は一度頭を垂れ何とも優しげな顔をして見ている・・・。
 「アウラ」
 声をかけると乗りやすいように馬はしゃがみ少年が乗ったのを確認すると立ち上がる。

 「それじゃあ、おじさん。また、いつか!」男の子がそう言って男に微笑むと鷲は空高く飛び、それを追うように馬は森へと駆けていく・・・。
 さながら一枚の絵の様に荘厳で美しい・・・小さな王子が森へと消えて行った。

 
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