第3章 里帰り
「で、何か言いたい事ある?」「自分の妹なのに心配じゃないのか?」アランが問いかける。
「辺境ですら同じ大陸だから言語共通。元プリンセスなら教養もある職には困らない。いい大人なんだから自分の事は自分で考えるでしょ?あんたその歳でも家族に頼るわけ??」
「・・・国の思惑だか何だか知らないけど、無理矢理追い出しておいて・・・・本人の心は無視?」「そんな・・・」
「仮にアルス国にいたとして、辺境の地でも他国の情報はある程度わかる。現に私もウィスタリアのプリンセスが妹とは知らなかったけど、官僚達の不正発覚して隣国の国王とご成婚された事は知っていた。未だ行方知れずっていうのも噂程度なら・・・・それでも、プリンセスは帰ってこなかった。どういう意味だろうね?」
「・・・・・。」
「帰るつもりはない。そう考えるのが妥当かな。第三者から見てもそっち都合で追い出したのに、本人の意思を反してまで送り帰す理由はわからない。ないとさえ私は思う・・・身内だから。」
「前に村に行った時3人留守だった。その内の一人がボーズの母親か?」
「調査に来たらしいね。アルス国王に許可もらって。只の視察の筈なのに村の人間についてやたら聞いて来たって奴隷商人か何か?まあ、事情は今聞いたからあえて聞かれればあの時留守にしてたのはご察しの通りだよ。」「・・・・妹なのか?」
「仮に・・・ルプスの母親がプリンセスだとしたら、あの肖像画を見た瞬間、ルプスは何かしら反応した筈だよ。そんな様子は見た限りなかった。」
「お前から見て・・・母親は妹だったか。」
「 ・・・・・少なくとも私には妹に見えなかった。似ても似つかぬと言ってもいい。母親がステラだと信じたいなら育ての母なんだろうね。そんなに知りたければ自分の目で確認するといい。何にしろ妙な探り入れるのはやめてね。不快だから」
そう言って城の案内から戻って来た家族を出迎えに行った。先程の冷たい顔とは対照に、優しい笑み。
「お前の妹、プリンセスと本当に姉妹かよ」「妹が身内では特殊なんだよ。唯一母さん似の性格」「嘘か如何か全然判別付かない。アレで嘘だったら詐欺師ですよ。嘘だと信じたいけど」
「あいつはそいつの為ならどんな嘘だってつくからな。それを決して話さない。長丁場上等だわ。」一番知られたくない人間に知られたのだから気にしない。