第3章 里帰り
「このバカ娘が今まで何してた!帰って来るなら連絡の一つせんか、はぁこれで後継ぎが戻って来た。一先ず安心だ」
「うっせー、クソ親父が。こっちにも色々あんだよ。それに家継がないから。兄さんに継いで貰ってやりたい事出来たから、暫く戻らない」
「なっ!?」「まぁ!」「はぁ!?!?」これには家族も唖然。
「それにしてもルプス、また背が伸びたな。見違えたぞ、皆喜ぶ。来たのが私ですまない。どうしても来れないのだと」
優しく頭を撫でる仕草が母のソレと似ていて、どうしようもなく悲しくなる。
「ううん。解ってるきっと来ないと思ってたから」「・・・・すまない。」「今度まとまった休みが取れるので」「アレも喜ぶ。そろそろ帰って来る頃だろうに『速く渡したいのだ』と言っていた。離れていても親は子をいつも思っているものだ。」
慈愛に満ちた笑みに騙されそうになるがその親に散々心配をかけてた人が言うことではない。声には出さないが周囲の複雑な顔からそんな思いが伝わって来る。
「おい!こいつと知り合いならこいつの親のこと知ってるんだろ。」シビレを切らしたのかソルが疑問をぶつける。「あぁ、そういえばここに着く前に東国のキャラバンを見かけてさぁ、そこ国特有の植物がこれまた面白くて!アルスの王城に仕掛けようと思うんだ!皆度肝抜くぞ」話を遮るように声を大きくする
「あなたがアルスにお暮らしなら教えてください。」「この間のキッツイ匂いの草はダメだね。王城の連中、刺激臭に慣れててみんな嗅覚麻痺してんのか全く通用しなかったから。あっこの国の連中なら効くかも早速仕掛けにいこうかな。」「職場の信用失うからやめて」「この国のプリンセスの行方を捜しているんだ何か・・・「そっかぁ〜!残念だわぁ、あっ!新しいお茶のブランドが出来たんだけどこれが中々良くてねぇ、今度教えるから試してくれる。」此方の話を全面的に無視する。
「ステラの居場所を知らないか!?」「・・・・」
ソルの苛立った声でようやく、言葉が止まる。
「7年前プリンセスに選ばれて、行方をくらませたんだ。妹からお前は何か手紙を貰ってないか?」「・・・・・・・。」
何かを考えているのか沈黙が只ならぬ空気となり会場を覆う。
ルナはゆっくりと口を開く