第3章 里帰り
見慣れないドレスの女性が優雅な足取りでこちらへと歩いてくる。
シャンデリアの下輝く金の髪は太陽の様にきらびやかで、金に縁どられた青い瞳は海の様・・・。
白を基調とした異国の服はさながら女神の様に神秘的
女はプリンセスの絵画を見上げ深くお辞儀をするとこちらに微笑む・・・勝気でいて明るく、艶然で目が離せなくなる・・・。
皆が見とれる中、一人だけ蒼褪めた顔をしている。
「なっ!??お、おまっ・・・・おまえ・っ!!」
「かあさま!」ルプスはためらいなく女性に駆けよりその懐に招かれた。
年相応の笑みは今まで見たことがない・・・。
「お招きありがとう・・・。あ、ひさしぶり兄さん」
「ルナ!?おまっか、かあさまって!?」
「かあさま、ソルと知り合い?」「あぁ、出来の悪い私のあにさまだよ。そっちが母さんと父さん」
「あら、ルナの子だったの?通りで似ていると思った・・・。」「違うわよ。知人の子で私らの家族。村の小さな宝物よ。」「おまえ、今までどこに!!」
真っ赤になっているソルとは対照的に飄々としている美貌の麗人は懐から紙を取り出す。
「それよりルプス・・・お土産がある。村の連中がこれない代わりにって色々持たせてくれた。部屋に届けてある。」
紙には食べ物の名前なのか、いろいろ書かれている。コサージュや銀器などもチラホラと
「僕の好きなものばっかりだ。みんな生活辛いはずなのに・・・国王陛下まで」「それだけお前の門出を喜んでいるんだ。あのこも・・ね」
小さな小箱を差し出してくれた。カモミールとミモザの装飾
『命より大切な何よりも愛しいルプスへ 遠い地より愛をこめてあなたの人生がこの時計盤の様に輝く日々でありますように』
箱の中身はサシェが付けられた銀色の綺麗な懐中時計。時計盤の中には無数の星空が施されている。
「ありがとう・・・」
サシェが付けられた懐中時計に唇を寄せるとははさまの香りが漂ってきた。