第3章 里帰り
「いえ、こちらこそ今年も遠路この国によく来てくださいました。」ルイ様はうっすらと笑みを浮かべて応待する。
「今年のセレモニーは例年より賑わっていますね・・・。」毅然として堅苦しい口調に聞き覚えがあり伏せていた頭が一瞬動いてしまう・・・。
「会場の飾りつけも華やかだし、プリンセスの表情もなんだかいつもより明るく感じる。それよりルイ様!噂の執事さんどこ」明るい口調まさか
許しもなく頭を上げるのは無礼だが体が言うことを聞かない
「・・・・・・あ」
「あれ?君・・・」「きさま・・・」「・・・・・。」
「ご紹介しましょう・・。私の専属執事となったルプスです。幼いながら異国で優秀な成績を残しており、この会場の飾りつけも彼が行ってくれたのです。」
「先日は挨拶が遅れ申し訳ございません。ルプスと申します。お褒め下さり望外の喜びにございます。」
「へぇー。君が新しい執事さんだったんだ。執事服着ていたからまさかとは思ってたけど・・・あ、俺ユーリ=ノルベルト。シュタイン騎士で国王ゼノ様の側近。ウィスタリアプリンセスの元執事でした。」フランクな挨拶の仕方に少し肩の力が抜ける。
「ユーリ、ゼノ様やウィスタリア国王の御前だぞ。
アルバート=ブルクハルトだ。先日はすまなかった・・・。」毅然とした態度の中に複雑そうな顔・・。
そして
「・・・・・・・・・・。」目の前の男は何も言わない・・・自分とよく似た色彩の男に少し親近感が湧いているのを感じる。
「ゼノ=ジェラルドだ。会場の飾りつけや城に対する細やかな配慮・・・プリンセスに対する心配り・・・妻に代わり礼を言おう。」先程とは印象が変わる冷たい表情の中に優しい最愛の人に対する愛情が滲みでる。心底、プリンセスを愛しているのだな。
「勿体なきお言葉。」
自分の声が何故か上擦っている・・・まるで、ははさまに褒められた時の様に・・・
「あれ?もう感動のご対面??」「なんだ面白い事ってこの事か」「皆、陛下の前ですよ・・。」
続々と王宮の臣下達が集まってくる