第3章 里帰り
勝負の結果は・・・
「うそだろ・・・・。」
思っていたより早くに決着がついた・・・。
持ち主の手元から離れ、地に倒れた剣。
首を圧迫するように棍を押し当てられていたのは
「俺の勝ちだな。ルプス・・・。」
まだ幼さの残る少年の方だった・・・。
今まで、自分たちを打ち負かしたのは小さな体の通り年端もいかない子供・・・。
シュタイン側もウィスタリア側も驚きを隠せなかった。
「審判、はんて・・・・」言い終わる前に体が回転した・・・。
ルプスは首に押し当てられていた棍をいつのまにか避け、棍をソルごと振り落とし地に倒した。
そのまま雷神の如く鋭い突きを眉間めがけて打ち出すが、ソルが倒れながら剣を掴み首めがけて突き出したのはほぼ同時・・・。
「リーチ・・・・俺の方が長いですね」
ソルの眉間にピッタリとついた棍。と首にあとわずか届かなかった切先・・・・。
判定は決まっていた・・・。
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「う゛~~~、いてぇー、燥ぎ過ぎたかな?」
あれだけ、動き、走り回ったのは村での稽古以来だ。
全身の筋肉が痛む上、棍を押し付けられた首は若干、欝血していた・・・。
「ここの連中が杖術素人で良かった。」
村の連中なら棍の押し付け方も首に沿わさず、喉一点を押え付けてただろう。
勝てた・・・が、やはり子供と大人の体力や力には差がある。ソルとの試合は勝てたが、その後の試合は辞退した。
「こんなことじゃ、駄目なのに・・・。」
強くならないといけない。守らないといけない・・・
胸元に手を当て、蒼褪める・・・
「・・・!!!??~~~~っ!!?」
ズボンのポケット、内ポケット、上着の中を調べる・・・。目当ての物はない
慌てて床を調べるがない・・・・!
この部屋にはない、そう判断すると城の仮眠室から出て、夜の城内を駆けた。