第3章 里帰り
このセレモニーには毎年欠かせない三つの行事があった。
一つは両国の騎士たちが日頃の研鑚を示す武術大会
二つはシュタイン国とウィスタリア国の王がそれぞれ互いの国の繁栄といち早くプリンセスの帰還を願い互いが選んだ花のリースを広間の中央に飾られるプリンセスの姿絵の前に謙譲する儀式。
最後は最終日に開かれる舞踏会・・・。
ここで執事が主に必要となるのは最終日くらいでそれまでは存外暇に過ごせるなぁっと、思っていた矢先だった。
「・・・・・・。」
剣先が顔近くをかすめるのを紙一重で避け、詰め寄り下顎に拳を浴びせ長い棒を脳天めがけて振り下ろした。
審判が気を失った騎士を確認し旗を上げる。赤がシュタイン国、白がウィスタリア国の・・・・旗の色は白だった。
「おい何もんだ」「あんな体でどこにそんな力・・・」
「一般客だよな?」
歓声に混じり、両国の騎士たちの青ざめた声が聞こえる。
ルプスは深いため息をつき、長い外套で隠れた顔の汗を拭う・・・。どうやらまだバレてはいないらしい。
事の発端は今朝に起こる。
「お前、剣はからっきしダメだな・・・」「はぁ・・・」
休憩時間もでき、自主的に剣の稽古をしていた際、ソルが遊びに来ていた。セレモニーの3日間は一般参賀が許される上、この武術大会うまく勝ち進められれば騎士への道も開けるらしくこの人がいることに別に疑問はない。
「ちっせーからリーチもないし、体力作りで仕方なくやってます。っつーのがありありと判る。」「・・・・・。」
しかし、先程からのきつい意見に思う節がある。が、それをグッと堪え
「人を殺す術は身に着ける気がないので、剣でなくても誰かを守れますし。」笑顔で言った・・・。
「そのちっせー体でなおかつ剣も使わずどうやって守れるつーんだ。とんだ甘ちゃんだな。この国に着く前よっぽどの手練れに守られてたんだな。まぁ、子供なんだから親や大人に守られて当然か、」この言葉に何かしらの怒りを感じ、何かが千切れとんだ。「証明してみましょうか?」
思ったより声は落ち着いていた。
「この武術大会は一般人も参加できるんですよね?なら証明すればいいのですね。剣じゃなくても守れると」
僕に大切なものを守る力があると