• テキストサイズ

[イケメン王宮]グッバイ!racrimosa

第3章 里帰り


今日は朝からお城が賑やかだ。明日からの3日間はこの国のプリンセスと隣国シュタインの国王の御成婚を記念したセレモニーが開かれる為だ。 なので「今日ばかりは」と言った感じに朝から掃除やらおもてなしの準備やらで大忙し。
僕は自分に充てがわれた仕事を早々に終えて、少しだけ城下に出て来ていた。
城下の行きつけのお店もやはりいつもより準備で忙しそうだ。
「ほら、あんた達!遊んでないで手伝いなさい。」「はーい!!」 「そっちのランタンもう少し右に付けろ!」「これどこに飾るんだ?」
お祭りの準備は万国共通で和気藹々として観ているだけで楽しい。ルプスは城下の外れにある小さな花屋に来ていた。
「あっ!ルプスだぁ〜!」「お買い物に来たの?」
花屋に並んだ色とりどりのリースは子供達が作ったのか素朴ながら可愛らしい。所々歪であるがそこは愛嬌。
それを ばぁばの少し皺の寄った手はとても器用に美しく、手早く編み直し整えてく。その傍には作りかけの 薔薇とスターフラワーで作られた豪奢なリース。お城に飾るにも遜色ない美しさだ。うちの村でもリースを作るがこれ程の腕前はそういない。
「きれいだねー。」「こちらはお城に献上するものなのよ。毎年このセレモニーには花屋がプリンセスとシュタイン国王様に因んでお二人がお好きな花をリースにして差し上げるの。お二人の永久の愛情が天に届き二人を引き合わせてくださる様に」
「ばぁばのリースとっても綺麗でしょー。」「最近は目も悪くなってしまって、この先お役目が務まるかどうか、目と手が動く限りお二人の為にお作りしたいけれど・・・」
 優しく、僕や孫達の頬を撫でる手は驚くほどか細く、一抹の不安がよぎる・・・。
 「僕にも手伝わせてください。今日はその為に来たんです。それに、みんなで一緒に作れば、4人分気持ちと願いが込められるでしょ?」
 「クス・・・・そうね。お手伝いしてもらおうかしら?」

 たおやかにおっとりとほほ笑む姿が驚くほど可憐で故郷のははさまに話しかけているように感じた。
/ 231ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp