第2章 考察と調査
「この間のお礼がしたいです」
そう言われてしまい追い返すことなくその子供と馬達のブラッシングをしていた。実に丁寧だ。陽光を受け鬣がキラキラと輝いていた。
馬達も懐き、構いたがるのか先程からこちらを向いてもらおうと鼻先を体に押し付けてる。それをくすぐったそうに身じろぐ
俺の愛馬もどこか嬉しげにどこか近づきたそうに構いたそうにそわそわとしている。
「手馴れてるな」「村にも馬はいますから・・・。」
そう言って、俺の愛馬にも手を伸ばす・・。
まずい―――!!
愛馬は気位が高く俺以外に触れられると下手をすれば噛みつく。蒼褪めるが・・・・・――――どうしたことだろう!!
子供の小さなふっくらした手が優しく馬の鬣を撫でる、実に気持ちよさそうに目じりを和ませ、『ここも』と言わんばかりに首を折る・・・。 「とっても、綺麗な馬ですね・・・少し元気がないみたいだけど・・・。」「そいつの一番仲が良かった馬が6年前から行方不明なんだよ」
6年前プリンセスと一緒に城を出て行った俺の馬と兄妹でいつも一緒にいた・・・。
「そうなんだ・・・。さみしいね・・。僕の村にもとっても綺麗な馬がいるんだよ?優しくて真っ白で、滅多に乗せてくれないけど、いつも僕がお願いすると乗せて歩いてくれるの」「馬に乗れるのか??」その年でなんて王侯貴族でも出来るかどうかだ
「速がけは危ないからやらせてもらえなかったけど・・・出来ますよ。ウィスタリア近くの国境まで同行人と二人乗りで駆けて、別行動する時にはもう一人で・・・」
愛馬がそわそわとコチラを見る
「こいつに乗ってみるか??」「はい!!!」嬉しそうに微笑み頷く、そうしてニコニコした顔で馬に近づくと、足を下りしゃがみ込む馬『はやくはやく』とでもせっついているようだ・・・。跨るのと同時に馬は立ち上がりゆっくりペースで動く。いきなり速度を速めるも手綱もなしに巧みにバランスを取り駆け回る。ある方向を指さし馬に指示する。
大きなリンゴの木・・・器用に馬の背に立ち木の実を一つもぎ馬に差し出す・・・実の兄弟の様だ。きっと村でもそうやって乗せてもらっていたのだろうあれじゃあ速がけはさせられないな。
そう思い、近いうち手綱や鞍をつけて乗る練習をさせようジルも馬術の訓練をさせたいと言っていたし教えるのも悪くない・・・そう思った。