第2章 考察と調査
執事としての仕事は大体日の入り前に終わり、その後は王宮のしきたりや諸外国についてレオ様から講義を受けていた。
基本的なことはほぼ同じだが、やはりその地域の特色にも似た風習や文化に根付いた独特なものなどもありそれを詳しく話しても会えるのは楽しい・・でも、やっぱりこの間の事が気になる。
あの後、仲良くなったメイドさんやシェフにプリンセスの事を聞いても曖昧に流される・・・レオ様やジル様なら応えてくれるだろうか・・?ジル様は『講義中ですよ』とか言って話をそらしそうだし・・・・。
「ん?どうかしたの?ルプス・・難しかった?」「いいえ」レオ様は優しくいつも笑って質問に答えてくれるけど
「聞きたいことがあるなら何でも言って」
・・・綺麗に嘘をつける人だと思った真実を話してくれるとは限らない
「話したくないなら、話さなくていいんです」「??」
「プリンセスについて・・・どんな方なのか聞きたくて」
その言葉に一瞬だけ目を見張りレオはプリンセス制度について話してくれた。独自の制度があるとは聞いていたが詳しい内容は今まで教えてもらっていなかった。アルス国の王は世襲制で血のつながらない民間からも選ばれる可能性があるなんて寝耳に水である・・。
「7年前に選ばれたプリンセスはごく普通の平民でね。
でも一生懸命で国中走り回ってた。あの回廊はそんな優しくて皆の大好きなプリンセスの部屋に繋がってる」「その方は今どこに?」
「・・・・・わからないんだ。」何があったのかは教えてくれなかった・・・。でも、国民や城の人たちは今でもプリンセスが帰ってくることを信じて、毎日メッセージ付きの花束を城の門に添えているのだと・・・。
「この国のプリンセスは本当に皆様から愛されてるんですね」「とはいっても、花はすぐ枯れちゃうしメッセージカードの束も正直どうしたらいいかほとほと処分に困ってるんだけどね」
こんな事プリンセスが聞いたら処分なんてとんでもないと怒り出しそうだな・・苦笑交じりにレオが言うと、男の子はし腰大人びた仕草で思索に興じる・・・そして
「では、僕にそれ全部ください・・・。」「え??全部??」
「皆様やそのプリンセスの為に何かしたくなりました・・・。」
少しいたずら好きのやんちゃな子の目で男の子が言った。